おカネがくても建つの?

2003年7月3日(木)

なんか恐ろしいタイトル・・・・(^^;)

今から9年前、わが一家は、2LDKの瀟洒なアパートに住んでいた。 私は勤め人であり、毎朝50CCのバイクに乗って15分ほどの勤務先まで通っていた。
バブル時、一戸建ての家など夢のまた夢、家だのマンションだのを買うなど思いもよらず、「それならば使うだけじゃ」と、、スキーだ旅行だ外食だと遊びまわった。そんな夫婦だから、貯金などあるはずもない。共働き夫婦の財布の中身はいっつも空っぽ(^^;)

ある日の通勤の道すがら、ふと目を留めた不動産屋のポスターが私たちの運命を変えた。それは「割烹跡の店舗付き住宅」のポスターだった。
私はその古ぼけた割烹跡のポスターに釘付けになった。財布が空っぽのくせにである。なぜこのボロ家にあんなに惹かれたのかは今考えてみてもよく分からない。バブル絶頂期には、どんな中古家だって私たちの手の届く代物ではなかったこと、緑が多い周囲の環境が気に入った、広い道路に面していることで商売(教室)ができる、などが主な理由だったのだろうと思う。
悲しいかな、このときは、その後毎年延々と下がっていく地価下落を予想することができなかった・・・

短絡的な性格の私と違って、夫は沈着冷静に物事を考えることができる人。その彼から「賛成」を引き出せたことで、気が変わらないうちにソレッ、と即効で不動産屋を訪ねた。住まいにするにはおかしな建物に違いないそのボロ割烹を、気に入るだろうことは容易に想像できた(^^;)
金額が多きすぎたため、銀行から借りることはできなかったが、そのころブームであった「住宅金融専門会社」が貸してくれるという。金利は高かったが、私も働いていたし思い切って買うことにした。

あれから9年が経ち、家はさらにくたびれてきた。しかし、バブルの後遺症が長く、不景気風が日本中に吹き荒れている今家を建てることに、夫は反対だった。生活を担っていく立場では当然だろう。しかし・・・私はその背中を押した。
「年を取ったら借金できない」「住宅減税がなくなる」「必ず金利は上がる」「リフォームはすぐにもとのもくあみ」などの理由を挙げて、説得攻勢を続けた。
四捨五入をすると?歳の妻だ。そういつまでも経済的に夫を支えることはできない。今建てられなければ一生家を建てるのは無理だと思う。しつこくしつこく責めまくり、ついに彼奴は負けた(^^;)

“決して無理をしない”亭主だけでは一生家など買わなかったと思う。また、“マイナス部分の推考に甘い”私だけでは、暴走し過ぎて失敗をするのが落ちだ。我が家は両極の二人でちょうどよいバランスを保っているのかもしれない。<