誕生日の酒(長文)

久しぶりに、日本酒を三合も飲んでしまいました。
そんなに高級な酒は置いてないお店ですが、冷えた日本酒がすきっ腹に堪えました。
美味しかった・・・

130629_1630思い切って和服を着ました。
夏なので、紫の絽の着物、エンジの花柄の絽の帯を選びました。
長く着てないので、帯の締め方などもすっかり忘れてしまい、怪しげで情けない話です。
年を重ねるということは、そういうことなのでしょうね。
エアコンを付けた部屋でも、帯を絞めるのに汗だくなり、途中で「や~めた!」と言って全部脱ぎたくなりました。

午後6時30分きっかりに、娘が予約したタクシーがわが家の前に停まりました。
タクシーの運転手に、印刷した Google Map を手渡した夫。さすが準備万端。
運ちゃんは気さくな感じの人でしたが、「頭のいい人ほど細かい地図を描くんだよねぇ」などと言いつつ、地図はほとんどみません。
私だってGoogle Map の地図なんて嫌いだわ。お世話になっておりますが(^^;
夫が口頭で指示しながら、迷いもせずに目的の店に到着しました。

娘二人と孫一人がすでにお店に到着しておりました。
近所で一杯やっていたらしい。
誰に似てこんなにノンベなのでしょう>二人とも

飲んだり食べたりしゃべったり
大そうにぎやかな宴会になりました。
私は健康診断も控えているし、暴食はあまりせずに、暴飲だけにしておきました。

2時間ほど経ったころ、3番目の孫が車で迎えにきてくれました。
社会人になって、たくましく成長していました。
頭のほうは相変わらずだと思いますが、ランニングシャツから出ている二の腕がマッチョです。
「逞しいねぇ」などと言いながら、何度も腕に触っちゃいました。
「毎月1回は来るよ。肩や腰をマッサージしてやるよ」と、あの言葉はどこへ行ったのか、社会人になってからは、わが家に寄りつかなくなりました。
忙しいのでしょうが、意地悪くそれをなじると、「絶対近いうちに行くからネ」と、繰り返し言っていましたが、信用しちゃいませんって(^^;

川口駅を通り過ぎて、先の少し幅狭い道を入ったところに、小さな飲み屋があります。
まだ若くて可愛かった(?)頃から利用しているお店です。
私と同い年のマスターが一人で切り盛りしています。昔からずっと一人でやっています。
最近では滅多に足を向けないので、私と私の家族はその店の非常連客です。
マスターの趣味はマラソン。娘が小学生のときに一緒に「鹿沼さつきマラソンの親子コース」というのに出たことがあります。
もちろん疑似親子でしたが・・・
マスターはその時のことを、行く度に話します。
「よほどうれしかった思い出なのだろう」と、勝手に解釈しています。
私が行くと必ず「みっちゃん元気?」と訊くのです。

娘が「〇〇へ行こうよ」と提案しましたが、私はもう辞めてしまっていると思っていました。
というのは、何年も前から「店を売りたい」と言っていたからです。
一昨年の誕生日にも、二次会はこのお店でしたが、そんときも「もうやめるんだ」と言っていました。口癖?
最近は、パーキンソン病にかかって、さらに気弱になっているようです。
「行くだけいってみようよ、やってなければ帰ればいいんだし」と娘が言うので、とりあえず店に向かいました。

店に着くと扉が開いていて、小上がりの座敷の隅にマスターがポツンと座っていました。客は誰もいません。
私の目には、寂しげな老人の姿に映りました。
自分だって老いているので、他人のことを言えた義理じゃぁないのですが、自分のことは置いておきます。
病気のせいもあるかもしれません。
「今日は土曜日だとうのに、客が一組しかこなかったんだよ。もう店をしめようと思っていたところなんだ」
なつかしい越後なまりが、やけに寂しそうでしたが、それでも私たちを迎え入れてくれて、とても喜んでくれました。
ビールなんぞをごちそうしてくれて、これじゃどっちが客だかわかりゃぁしない。

「借り手がいるんで、もう店やめようとおもっているんだ」
またぞろその話です。
マスターの身体のことを思うと、楽にさせてあげたいけれど、楽にさせたら店がなくなっちゃう。そりゃ寂しすぎ。
心を鬼にして「店を閉めないで、もっと来るからさぁ」と、勝手な私の口。
一人ではバスにも乗れないくせに、適当なことを言うもんだわ。

 

「一緒に走ろうよ」と、娘が誘います。
「きっとすぐに置いていかれれちゃうよ」などと言いつつも、マラソンの話をしだしたら、嬉しそう。
私のことも「若いねぇ」と褒めてくれて、オンナって世辞とわかっていても弱いのです。そういう言葉に(^^;
でもね、その何倍も娘を褒めましたの。「きれいだね」って・・

秋ごろから一緒に練習を始めて、冬の川口マラソンに備える・・・なんぞの話が二人の間にできたようです。
まるで、自身の走る姿を想像して少し元気になったような、そんなふうに勝手に感じておりました。

生きとし生けるものすべて、老いていくものなのですね。
それは誰にも止められない。
それを受け止めて、これからの人生を歩いて行かなければなりません。

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